はじめまして。東京空色の708(ナオヤ)です。
この連載では、福祉の現場に立つ支援員の視点から、「支援とは何か?」を言葉にしていく試みを続けていきます。
対象は、今まさに現場で悩んでいる支援員の皆さん、家族として不安を抱える保護者の方々、そしてこれから福祉の世界に飛び込もうとしている未来の仲間たち。
この場を、それぞれの「支援を考える部屋」として使っていただけたら嬉しいです。
目次
「優しくしてあげてください」――その言葉の奥にある気持ち
福祉の現場では、ご家族から「優しくしてあげてください」とお願いされることがあります。
その言葉に込められた願いや不安は、痛いほど伝わってきます。
しかし実際の支援現場では、「優しさ」が通じない場面にも出会うのです。
優しさのカタチを、丁寧に“見立てる”こと
「優しさ」とは、実はとても抽象的な言葉です。
その意味や解釈は人それぞれ異なり、状況によっても変わります。
たとえば、「自由にしていいよ」という支援が、一見すると思いやりに満ちているようでいて、相手にとっては「どうすればよいか分からない」不安を生むこともあるのです。
だからこそ、支援者に求められるのは、その人にとっての「優しさ」とは何かを、丁寧に見立てることです。
これが「丁寧な支援」であり、やがて信頼につながる第一歩になると私は考えています。
【事例①】下駄箱の前で動けないAさん――空間と気持ちの狭間で

🟠 Before/それまで
Aさんは、毎朝、下駄箱の前で立ち尽くしていました。
声をかけても反応がなく、なかなか靴を履こうとしません。
🟢 Intervention/介入
しばらく観察し、カメラ映像で動きの前後を確認してみたところ、
他の利用者や職員が近くを頻繁に通っており、Aさんの足元の空間が狭くなっていたことが判明。
他の動線を少し後方にずらすと、Aさんは自然と靴を履き始めました。
🔍 After/気づき
「困っているように見える人」は、実は「困っている“理由”を持っている人」なのです。
その背景に気づけると、支援のあり方が変わります。
【事例②】洗面所の手前で足を止めるBさん――静かな“問いかけ”

🟠 Before/それまで
Bさんは洗面所の前で立ち止まり、なかなか手洗いに進めません。
声をかけてもすぐには反応せず、もどかしい空気が漂います。
🟢 Intervention/介入
この日、職員はあえて声をかけず、行動の前後をカメラで確認しました。
すると、Bさんは洗面台を見つめるように立ち止まっていたのです。
「もしかしたら、泡が出る音や見た目が気になっているのでは?」と仮説を立て、
職員が静かに泡を出して見せると、Bさんは自ら手を伸ばしました。
🔍 After/気づき
「動かない」ことは「拒否」ではない。
それは、本人から私たちへの小さな問いかけかもしれません。
福祉ってなんだろう?
結論のない問いですが、私はこう思っています。
- その人の「困っている理由」を一緒に探すこと
- その人の視点で世界を見ようとすること
それが、支援者としての「福祉」の原点であり、出発点なのではないでしょうか。
次回予告:「第2回:その行動、意味があるかもしれない」
行動の裏には、きっと意味がある。
次回は、「気づきのための観察」をテーマにお届けします。
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